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こんにゃくを愛した聖俳-松尾芭蕉

「夏草や兵どもが夢の後」「静けさや岩にしみいる蝉の声」などの俳句でおなじみの松尾芭蕉。江戸時代に江戸から北陸や東北を旅して旅行記「奥の細道」などを記した俳人です。実は、この松尾芭蕉こんにゃく好きで知られています。当然、こんにゃくを詠んだ俳句も存在しています。

「蒟蒻の刺身も少し梅の花」これは元禄6(1693)年に、芭蕉が富山県を訪れた際に詠んだ句です。意味は「亡くなった人のため、梅の花の枝とこんにゃくの刺身を仏前に供えて、在りし日のことを思い出している」という内容の句です。春の訪れを感じさせる梅の枝と、芭蕉の大好物のこんにゃくを供え、友と語らった日々を思い出しているのでしょうか。富山県砺波市に句碑が残っています。

もうひとつこんにゃくに因んだ句をご紹介します。「蒟蒻に今日は売り勝つ若菜哉」。これも元禄6(1693)年に詠まれた句です。この句を芭蕉が詠んだのは1月7日、七草がゆの日でした。「この日(七草がゆの日)ばかりは、若菜(セリ、ナズナなどの春の七草)の方が、こんにゃくよりも売れ行きが良いであろう(いつもはこんにゃくが良く売れるのに)」という庶民の生活を詠った句です。芭蕉だけでなく、当時の江戸庶民にもこんにゃくが愛されていたことがよく分かる句です。

江戸時代には豆腐料理のレシピ本「豆腐百珍」とならび、「蒟蒻百珍」というこんにゃく料理ばかりを集めたレシピ本がベストセラーになるほど、こんにゃく人気は高かったのです。

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